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ジョン・コルトレーンの解読(1)、『Blue Train』、『Black Pearls』

2016/11/5

不定期連載のジョン・コルトレーンですが、本当に久々になってしまいました。

 

最初は、「コルトレーンのプレスティッジ時代の名盤」、と打って出ましたが、筆者はコルトレーンとその音楽を

解読するものと思っていますので、タイトルをその様に致しました。

 

コルトレーンとその音楽を解読するということは、ジャズという音楽の聖域、あるいは聖書を解読する行為です。

 

頑張ります。

 

161105coltrane01

 

ところが、先ず謝っておかねばならないことがあります。

『Blue Train』と来たら、次は本来、『Settin’ the Pace』に行かねばならないので、筆者はレコードを12回探したのですが、

無くなっていたのです! 大ショックでした。

そうしたことから『Blue Train』の次には『Black Pearls』について記したいと思います。

本当に、申し訳ございません。

 

1・『Blue Train』の登場

 

161105bluetrain

 

マイルスのバンドを脱退したコルトレーンは、セロニアス・モンクから楽理を教わり、その楽理を武器に初リーダー作、

『Coltrane』のレコーディングを行ったことは、以前書いた通りで、その楽理という武器で己の音楽的初期衝動を作品に

ぶつけてきた、ということも書きました。

 

そのコルトレーンが、『Lush Life』の後、『Soultrane』のレコーディングの前に、ブルー・ノートとワンショット契約を

結び、レコーディングが行われたのが本作、『Blue Train』。

 

楽理という武器を得たコルトレーンは再加入したマイルスのバンドに貢献するだけでなく、自分の音楽の創造性も高めて

いました。

 

ただ、『Traning In』と『Lush Life』でコルトレーンは、(かなり飛ばしすぎたな)、と思い、音楽家として熟達することの

必要性を感じたはずです。

 

そのコルトレーンが作曲家として見事に、一気に大成したのが『Blue Train』です。

 

音楽家として熟達したコルトレーンの姿がこの『Blue Train』に収められています。

 

ブルー・ノートでは、相応のリハーサルを用意されたことから、コルトレーンは楽曲の創造、

編曲(「I’m Old Fashioned」のみ)を充分に行うことができ、また、自分自身をもセルフ・コントロールしつつ、

レコーディングに臨むことができました。

 

何にしても、この『Blue Train』に収められている曲で、「I’m Old Fashioned」以外がコルトレーン作で、

出来映えが素晴らしいだけでなく、その後のジャズのスタンダード・ナンバーになりました。

 

作曲家としても非凡な才能を知らしめたコルトレーン。

 

ただ、彼が書いたブルースの「Blue Train」を除く、「Moment’s Notice」、「Locomotion」、「Lazy Bird」は

大疾走するナンバー。

いや、コルトレーンらしくて良いのです。

 

ですが、大疾走するその3曲において、ポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズが物凄い絡みで

リズムを支え、ケニー・ドリューもピアノで見事なサポートを見せています。

リー・モーガン、カーティス・フラーも当然のこと素晴らしいです。

 

しかし、筆者は、敢えて、「I’m Old Fashioned」をイチ押しにします。

この曲で聴くことができるコルトレーンのテナー・サックスがこの上なく素晴らしいからです。

 

この『Blue Train』は、コルトレーンの全アルバムのなかでも多分、最も有名な作品でしょう。

筆者が高校生の時、最初に買ったコルトレーンのレコードが『Blue Train』でした。

 

2・『Blue Train』の意義

 

何よりもこのアルバムでコルトレーンは、作曲家としても大成功を収めました。

作曲家として成功するということは、編曲家としても大いに成長した、ということです。

 

すなわち、この『Blue Train』の成功が、コルトレーン初期の大傑作である『Soultrane』の登場を約束したのです。

 

この『Blue Train』で作曲家として成功しただけでなく、演奏の面でも、疾走するだけでなく、セルフ・コントロールする

術を身につけ、それが『Soultrane』へとつながったのです。

 

また、『Blue Train』は、本当の意味での音楽家、ジョン・コルトレーン誕生の記念碑と言えるでしょう。

 

3・アルバム『Black Pearls』

 

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このアルバムが発売されたのは、1964年ですが、レコーディングは『Soultrane』の約3ヶ月後に行われました。

 

筆者は、2004年にこのアルバムの存在を知り、レコードで購入して聴きました。

 

聴いた筆者は、びっくり仰天!

何と、この『Black Pearls』には、1963、64年頃のコルトレーンの姿が「ほぼ」収められていたからです。

 

筆者の推測ですが、この『Black Pearls』を当初、リリースしなかった理由は、コルトレーン自身が、また、

レコード会社も何を演奏したのか判っていなかったのだと思います。

 

時代は、マイルスが革新的な音楽を生み出したとは言え、ジャズがまだまだビ・パップか、その延長にありました。

 

その様ななか、コルトレーンは、音楽の初期衝動をぶつけて演奏をしたら、未来の自分を予見する作品をたまたま

つくってしまったのだと思います。

 

ジャズ・シーン自体が先に述べた状況でしたから、コルトレーンもレコード会社も理解不能だったのでしょう。

 

とにかくこの『Black Pearls』には、何ものにもとらわれず、自由に飛翔するコルトレーンの姿が収められている、

優秀なアルバムです。

 

4・『Black Pearls』とコルトレーン

 

筆者は、全音楽のジャンルにおいて、コルトレーンの様に最後(最期)まで、己の音楽の初期衝動を維持しつづけた

アーティストを他に知りません。

 

そう。ジョン・コルトレーンとは、唯一、最後(最期)まで音楽的初期衝動を維持し、それを作品にぶつけてきた

アーティストなのです。

 

それで、この『Black Pearls』でコルトレーンは、その時点での自分のありったけの音楽的初期衝動をぶつけてみたのだと

思います。

そうしたら、時空を飛び越えて、将来の自分を予見するような作品になってしまった、ということです。

 

こうした関係性が、『Black Pearls』とコルトレーンにあります。

 

本当に恐るべきアルバムです。

(文 葛西唯史)

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