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Prestige(プレスティッジ・レコード)列伝 序章編

季節も11月に入り木枯らし一号が吹いたなんてニュースを先日目にしました。

先日友人が”田舎ではカメムシを多く見かける年の冬は雪が積もる”なんて迷信があると言う話をしており、もっぱら冬が来たんだなーなんて感慨にふけるこの頃です。

それと最近変わったなと思うことといえば…

冬らしくなり、寒くなったからでしょうか?

街ゆく人の中に手を繋ぎながら歩くカップルを多く見かけるようになりました。

人肌恋しい季節、寄り添う様に肩を寄せ合うカップルは見ていて微笑ましくなりますね。

そんなジャズ界のカップル(演奏のパートナーとして)の相思相愛なインタープレイを楽しめる1枚を今日は紹介します。

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“Hip Harp”

Dorothy Ashby with Frank Wess

1958 Prestige 7140

熱心なジャズファン、並びヒップホップ〜レア・グルーブの流れを好むリスナーはご存知、クラシック、ケルトの伝統音楽以外においてハープという楽器の存在を知らしめた名プレイヤーDorothy Ashbyがプレスティッジに残した最初の1枚。

 

番号も7140番とMJQやマイルス、ロリンズなどクラシックなスタイルのジャズを好んでいたボブ・ワインストック時代の過渡期に録音、発表された作品で、ボブ・ワインストックからエドモンド・エドワーズに引き継がれ徐々にブルーノートとの『扱うジャズ』の差別化が明確に形となって現れきたと考えるとなんともレーベルの歴史、またジャズにまつわる人の歴史を感じる1枚になっています。

 

デトロイトでミュージシャン一家に産まれた彼女はサックス、ベース、ピアノなどの楽器に触れ、最終的にハープという楽器を自分のメインに選択します。やはり初めてashbyの”In a minor Groove”(New Jazz)を聴いた時のこのストリングスはピアノじゃない…まさかハープ?と衝撃を受けたのは忘れられません。ハープという楽器でもハード・バップの様な音数が多く、高揚感を感じさせてくれるプレイが可能だと証明させた名盤です。

 

話を元に戻すと彼女の最初の録音、”The Jazz Harpist”(Regent)から後の”In a minor Groove”と今作、初期三作品で彼女のフィアンセ(音楽的な)としてエレガントなアンサンブルを支えるのがジャズフルート奏者、Frank wessでしょう。

 

ハープという楽器はピアノに比べ、一つ一つの音のアタック音が柔らかい分、テーマを演奏する管楽器にはパワーも含めて出来る限り近い音質の楽器との相性は必要不可欠であり、お互いがお互いの演奏に惹かれ合い、時に激しく、時に溶け合うように愛を確かめあっているような演奏であります。
もちろんこの演奏の土台を作っているベースのHarman wright、ドラムスのArt Taylorのプレイもドライブ感のあるスウィングなプレイで素晴らしい。

 

一曲目の”Pawky”個人的に一番印象に残っている曲であり、テーマのハープからフルートとの掛け合い、そしてソロへ突入というブルース構造の楽曲。光沢のあるシルクのドレスをそっと撫でるように鳴らされるハープの音にぐっと引き込まれてしまう…フルートの音も楽器を演奏する息遣いを感じることが出来素晴らしい内容となっています。
とにかくこんなに音を聴いて空気の振動を意識するブルースの曲などない。

 

三曲目の”Black Talk”は打って変わってハープでのバッププレイを堪能できる傑作です。フルートとハープのバップは激しさは無いけれど、丁度耳障りが良い、適温な演奏のバップはずっと聴いていられます。柔らかいビートで踊らせてくれるこの楽曲は、DJのユースのレアグルーブ好きにもオススメの一曲。
軽快なスウィングが魅力な四曲目”Dancing In The Dark”、五曲目”Charmine”、唯一のオリジナル曲である六曲目”Jollity”女性ならではな押さえ目なバップも良作ぞろい。
この後”Rubaiyat Of Dorothy Ashby”(Cadet)では日本の琴やポエトリーリーディングなど多彩なアプローチで1枚を練り上げた名作を発表しました。
またまたレアグルーブファンから人気の高いファンキーなジャズ・ファンクを聴かせてくれる素晴らしい名盤。
その名も”Afro Harping”(Cadet)、弦楽器の可能性を探り、ファンキーなバック演奏に負けないファンキーなハープサウンドを聴かせてくれます。
これらの自分の音楽の幅を追求し続けた作品を多く発表する、隠れたハーピストのパイオニアとして是非この機会に彼女の作品に触れていただきたい。

 

レアグルーブ好きのみなさんには是非スウィング・ジャズの魅力を感じてもらえる入り口として手にとってもらいたいし、ジャズファンの方々にはフランク・ウェスからこの1枚を手にとっても楽しんでもらえると思います。

やっぱりジャズの花形はテナーサックスだろう…もちろんそうだとも思います。
しかし、ウクレレや今回のハープ、またまたアコーディオンなどの他ジャンルで良く使用される楽器のリーダー作や、ピアノレス、ドラムレス、ベースレスなど他の音楽では考えられない編成で作られた良作などが存在するのがジャズ。
『ジャズとは自由な音楽なんだよ』と良く言われますが、まさにその通りだと思います。
1940年後半から1960年始めまで、世界中で最も楽しまれた音楽の懐の深さを改めて感じます。
余談ですが僕の言うフィアンセ、Frank WessよりもベースのHarman wrightと共演で発表された枚数のほうが多い彼女。
もしかすると魅力的な男性にすぐ惹かれる、我々をやきもきさせるとてもチャーミングな女性だったのかななんて思わせてくれます。

 

ライター:DJ高潮(桂 朋輝)

 


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