音機館ジャズ大阪|(1)ジョン・コルトレーン、プレスティッジ時代の名盤

傑出した偉大なジャズ・ジャイアント、ジョン・コルトレーン。

 

そのジョン・コルトレーンの偉大な足跡を記すには、彼の処女作であるプレスティッジの『Coltrane』から

始まる必要があります。

 

1・『Coltrane』録音時のコルトレーンの背景

この『Coltrane』が録音される前に、コルトレーンはマイルス・デイヴィスのバンドに在籍してプレイしていましたが、
後年のサックス・プレイヤーとしての神がかった巧者ぶりからは信じられないほど、自信がないように(良く言えば、初々しく)
プレイしていました。

それからコルトレーンはマイルスのバンドを脱退します。

そして、彼はセロニアス・モンクから楽理の知識を得た、ということは余りにも有名ですが、
ミュージシャンというものは、「新しいものを得た時に」、自身の音楽に対する衝動を強く覚えます。

コルトレーンに関する書物、文献を漁っていますと、どうやらコルトレーンは、まだマイルスのバンドにいた頃は、
楽理面において、それほど深い知識がなかった模様です。

そのコルトレーンは、セロニアス・モンクから楽理を教わった訳ですが、そこで得た楽理をもとに
自身の音楽を築き上げたくなることは必然と言えるでしょう。

そうです。セロニアス・モンクから得た楽理こそが、コルトレーンの最大の武器となったのです。

そうして、レッド・ガーランドの紹介で、コルトレーンはプレスティッジと契約を結び、

初のリーダー作である『Coltrane』を録音しました。

2・アルバム、『Coltrane』の意義

どんなミュージシャンにも処女作となるものがありますが、コルトレーンの場合には、プレスティッジにおける『Coltrane』。

コルトレーンの場合、『Blue Train』等で、また、マイルスのバンドに復帰後のマイルスのアルバムで、
堂々とした自信に満ちあふれた素晴らしいプレイを展開しますが、ともかく、この『Coltrane』での
コルトレーンは初々しくも、瑞々しくサックスを自由に歌わせていることに注目して下さい。

レッド・ガーランド、マル・ウォルドロン、ポール・チェンバース、アルバート・ヒース等々のプレイヤーとの
絡みも素晴らしく、後年のサックス・プレイヤーとしての神がかった巧者ぶりの要素が、早くもこのアルバムで聴けます。

このアルバム、『Coltrane』がもつ意義とは、第1に、楽理という武器を得たコルトレーンが、
自分の音楽に対する初期衝動を激しくぶつけたものであることです。

第2に、後年の神がかったプレイをするコルトレーンの要素が、この時点で、随所で聴けることです。

この『Coltrane』では、コルトレーンの初々しくも瑞々しいプレイ、ジャズを真摯に追求し始めた姿を聴けますが、
未聴の方は、是非とも聴いて下さい。

もう、ジャズの楽しさが、アルバム、『Coltrane』には満載ですから。

 

3・豪快なコルトレーン節が姿を見せた『Traneing In』

そのコルトレーンですが、『Coltrane』の録音後、たったの5ヶ月で急成長を遂げます。

この『Traneing In』は、本来は『John Coltrane with The Red Garland Trio』だったのですが、
タイトルやジャケットを変更されて発売されました。

「Slow Dance」という曲は、スロー・バラードですが、このバラードの美しさは白眉の出来映えで、
前曲の「Traneing In 」から続けて聴きますと、コルトレーンが一気にサックス・奏者として、
巧者に急成長していることが分かります。

そして、ラスト曲である、「Soft Lights and Sweet Music」でコルトレーンはエンジン全開、フルスロットル。

この曲で、後年、明確になる豪快なコルトレーン節が姿を見せます。

一体、この時期のコルトレーンに何があったのか、よく判然としませんが、コルトレーンはあたかも後年の自分を
予見していたかのように、激しくサックスをブロウしているのです。

4・アルバム、『Traneing In』の意義

この『Traneing In』がもつ意義ですが、これは来るべき名作中の名作である『Soultrane』に至るまでの
過度期的な意味合いをもつ、貴重なドキュメンタリー・アルバムと言うことになります。

何故なら、「Soft Lights and Sweet Music 」で、シーツ・オブ・サウンドの原型が顔を現せているからです。

また、セロニアス・モンクから得た楽理がこのアルバムでも大きな武器になっていますが、よく聴きますと、
前作『Coltrane』以上に、楽理を自分なりに自由自在にあやつり、自分の音楽を築き上げていることに気づかされます。

まだまだ発展途上の段階ですが、むしろ、それ故に、赤裸々にコルトレーンが自分自身の音楽を
築き上げようとする意志が、大きく感じられます。

加えて、処女作である『Coltrane』以上に、真摯に音楽に取り組むコルトレーンの姿がよく見える作品です。

コルトレーンは、楽理をより自由自在にあやつられるようになったことで、自分の音楽表現の方法が
広がっただけでなく、音楽に対する衝動のぶつけ方も大きく変わりました。

過度期のアルバムだからと言って、つまらないなんて言うことは一切なく、むしろ、ジャズという音楽を
自由自在にあやつられるようになったコルトレーンが、レッド・ガーランド等を引っ張っているから楽しいのです。

そして、コルトレーンが、レッド・ガーランド・トリオを完全に乗っ取ってしまったかのようで、
だからこそ、アルバム・タイトルが『John Coltrane with The Red Garland Trio』から、あたかも
彼のリーダー作のような『Traneing In』に変えられて発売されたに相違ありません。

この『Traneing In』も筆者が聴くことを推薦するアルバムです。(コルトレーンのアルバムの全てが、推薦盤ですが)

(文 葛西唯史)


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