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日本ジャズ・シーンの扉を開けた、大西順子(1)
65歳未満のジャズ・ファン同士が日本のジャズ・シーンについて、よくこう語ります。
「大西順子がデビューしてから、日本のジャズは変わったよな」
「大西順子のデビュー以来、程なくしてNYのジャズより日本のジャズの方が楽しくなったよな」
etc・・・・・
この様に、大西順子はジャズ・ファンから最大級の賛辞を浴びています。
そこで、今回は大西順子のPART・1です。
1・余りにも衝撃的だった大西順子の登場
時は1993年。筆者はレコード店(CDショップ?)のジャズ・コーナーの日本人アーティスト・コーナーで、何気なく大西順子のデビュー・アルバム、『WOW』を目に止めました。
(ああ、この人かぁ。今、話題の新人ジャズ・ミュージシャン)
筆者は、何の期待もせずに、その大西順子の『WOW』を購入して家路につきました。
今、50歳~60歳くらいのジャズ・ファンの多くは、当時、日本人のジャズを余り面白くないと思っていたのです。
自作曲をプレイしても、音楽的に消化不良の感が否めなかったからです。
それで家で、大西順子の『WOW』を聴いた筆者は、1曲目の「The Jungular」を聴いて、びっくり仰天。
この曲は大西順子が書いたものですが、50年代のジャズ(ビ・パップ)のイディオムから逸脱することなく、それでいて現代的な作曲手法が見事に同化していたからです。
筆者は、(新しい日本のジャズのボキャブラリーがここにある!)、そう思いながら『WOW』を聴きました。
そう。大西順子デビューのすごかった理由は、第1に、自作曲が50年代のジャズのイディオムから逸脱することなく、その上で現代的な作曲手法が見事に同化していたからです。
第2に、既存曲の解釈の仕方が極めて斬新で、かつ、新鮮でした。
第3に、ピアニストとしての技量が群を抜いて、すごかったからです。
こんなに素晴らしい日本人のジャズは初めてでした。
天才・大西順子の登場は、紛れもなく、日本のジャズ・シーンの扉を開いたのです。
筆者は、否、日本のジャズ・ファンは、天才・大西順子の登場を嬉しく思い、心から歓迎したのです。
2・日本人、初のビレッジ・ヴァンガード、ライブを成功させる大快挙
そして、大西順子は日本人として初のNY、ビレッジ・ヴァンガードに1週間にわたって出演し、そして大成功を収める、という大快挙を成し遂げたのです。
これには、当時、一般の新聞紙のみならず、地方紙にまで掲載され、大きな話題になりました。
その大西順子のビレッジ・ヴァンガード、ライブの模様が、2枚のライブ・アルバム、『Live at The Village Vanguard』のPART1、2として発売されました。
やはりジャズ・ミュージシャンの力量を知るにはライブ盤が1番。本当に力量を知るにはライブに行くことがベストなのですが、ライブに行けない人にとってライブ盤はありがたいものなのです。
その2枚のライブ・アルバムを聴いた筆者は、また、びっくり仰天。
既存曲に関しては、曲を一旦、解体し、アドリブで曲を解釈し再構築するという離れ業をやってのけているのですから。
また、1枚目の白眉は、大西順子作の「How Long Has This Been Goin’on」。
クラシカルなフレーズを織り交ぜて、それでいてスリリングに聴かせる様は、まさに圧巻。
2枚目の白眉は、「Ringo Oiwake」。
美空ひばりの「リンゴ追分」のカバーですが、この曲、時々ジャズにアレンジされ、演奏されたものです。
しかし、ここで聴ける「Ringo Oiwake」の静と動の描写には驚くより他なく、大西順子のリリシズム溢れる演奏と相まって、特筆すべき出来となっていました。
ともかく、大西順子の登場は、一躍、日本のジャズ・シーンを活性化させたのです。
人によって好き・嫌いはあれども、ケイコ・リー、木住野佳子、山中千尋、グレース・マーヤ、纐纈歩美、寺久保エレナが後に続いて登場し、日本のジャズ・シーンをますます面白くしたのです。
また、上記以外のジャズ・メンでも、例えばベーシストの井上陽介、俵山昌之、ドラマーの本田珠也、山田玲(あきら)、ギタリストの小沼ようすけと言った、とんでもない凄腕のミュージシャンが登場しました。
何にしても、大西順子の登場は、極めて画期的・革命的な出来事だったのです。
(この稿・2に続く)
(文 葛西唯史)
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