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音機館ジャズ|稀代の天才サックス奏者、ジャズ・ミュージシャン纐纈歩美

2016/08/4

今回のジャズについては、グレース・マーヤに次いで、日本人ミュージシャンを取り上げます。
そこで、纐纈歩美の登場。2010年のデビューから早くも6年が経ちますが、先頃リリースされた6枚目のアルバム、
『Art』がたいへんな大傑作であることから、タイミング的にも良いものと思われます。
1・デビュー・アルバム、『Struttin’』

ayumi_Struttin

筆者は纐纈歩美と言うジャズ・ミュージシャンがデビューしたことなど一切知らず、たまたま彼女のライブに足を運び、
彼女のプレイを聴いてド肝を抜かれ、(驚異の新人ジャズ・ミュージシャンの登場だ!)、と思ったのです。
それでライブの会場で纐纈歩美のデビュー・アルバム、『Struttin’』を買って、家で聴きました。
今聴きますと、技巧の面で拙さも見えますが、それでも極めて新鮮なジャズの往年の名曲の解釈に驚愕しました。
今、この『Struttin’』を聴いても、往年の名曲に纐纈が新鮮な息吹を与えて現代に甦らせていることが何よりも嬉しく、
6年が経った今も筆者の愛聴盤となっています。
また、この『Struttin’』は録音が非常に良いことから、筆者は当時、マルチ・アンプ駆動していたJBLの音の調整によく用いていました。
このアルバムは、纐纈歩美のデビュー作ということから、当時、纐纈と一緒に活動をしていた納谷嘉彦さんが
工夫を凝らした選曲をし、キャッチーな楽曲が多いのでジャズ初心者でも気軽に楽しめる仕上がりになっています。
いずれにしても、この『Struttin’』は、今後も纐纈歩美のデビュー・アルバムとして聴かれ続けていくものと思われます。
次いで、翌年、纐纈歩美はセカンド・アルバム、『Daybreak』をリリースしましたが、その後の纐纈歩美のライブで
面白いエピソードがあります。
それは、ある会場でのライブだったのですが、休憩を挟んだ後のセカンド・ステージで最初から纐纈歩美、
ピアニストの納谷さん、ドラマーのマーク・テイラーがキレて暴走をし、ベースの俵山昌之さんだけが冷静で、
暴走する3人をつなぎ止め、楽曲が崩壊するのを防いでいました。
このセカンド・ステージでは、メンバー4人の間で化学反応が生じ、その結果、1+1+1+1=4ではなく、
イコールが100にも1000にもなるという現象が生じたのです。
ロック・ファンならご存じかと思いますが、調子が良い時のレッド・ツェッペリンのライブです。
その奇跡が生じたのです。
アンコールに入っても纐纈のMCがなかったことで、ここでも彼女がトランス状態にあったことがよく判りました。
締めの「This I Dig of You」まで化学反応が生じていました。
この化学反応とは、ミュージシャンが決して意図して出せるものではなく、何かうかがい知れないものが
メンバー間に憑依して生じるものであり、筆者はジャズのライブでは他に1996年と2016年3月の大西順子のライブでしか
経験がありません。本当に貴重な経験をしました。
3・『Rainbow Tales』

ayumi_rainbow

翌、2012年に纐纈歩美は3枚目の『Rainbow Tales』をリリースしました。
これが一大傑作アルバムでした。
このアルバムは、初の海外レコーディング(ノルウェー)で、纐纈自身が全曲のアレンジを施し、
その上で纐纈作のオリジナル曲が多いことが特徴なのですが、何かうかがい知れないものが纐纈歩美のなかで生じたのでしょう。
日本ジャズ史に残る金字塔のアルバムです。
何が本作を一大傑作アルバムにしたのか、筆者なりに分析をしましたが、既存曲のアレンジが素晴らしく、
既存曲に纐纈が新たな解釈で新鮮な生命を宿させたこと。
次に、纐纈の自作曲が50年代~60年代半ばのジャズのイディオムから逸脱することなく、その上で現代的な彼女流の方法論が
結実したこと。纐纈歩美はアレンジャーとしてもコンポーザーとしても超一流であることを知らしめました。
ところが、「Kayu」というオリジナル曲だけが異色で、筆者は、(ブルースが下敷きなのか?)、と思い、
あるライブ後に纐纈歩美に訊いたところ、「バラードです」、と言う返答がなされました。
しかし、この「Kayu」、バラードともブルースとも取れない(ジャズであることは確かですが)素晴らしい楽曲で、
ライブで聴いたらスケール感の大きい曲になっていました。日本人大好きのメロディックさなど一切なく、
それでいてリスナーを惹きつけてやまない素晴らしい作品。
この『Rainbow Tales』、「Kayu」を含め、アルバム全体が一大叙事詩と言える大傑作です。
未聴の方は、是非、聴いて下さい。
その後、纐纈歩美は、『Brooklyn Purple』、『Balladist』とコンスタントにアルバムをリリース。
それぞれが、本当に良い作品で筆者は大いにその2作品を楽しんで聴いていました。
ここで述べておきたいことに、アルバムごとに纐纈歩美の技巧の向上には目を見張り、また、
サックスの音が太くなってきていることがあります。肺活量まで大きくなった気がします。
ただ、(纐纈さんはキャリアの始めにして、『Rainbow Tales』っていう一大傑作をつくった以上、
それに匹敵する作品はもう・・・・・)、と思っていたのですが、筆者の期待は良い意味で裏切られました。
4・『Art』、リリース

ayumi_art

本年、5月中旬にリリースされた『Art』は、全編、纐纈歩美が敬愛してやまないアート・ペッパーのカバー・アルバム!
アメリカのジャズ・ミュージシャンたちのなかには、度胸よく、往年のジャズ・ジャイアントのカバー・アルバムを出す者もいますが、
おしなべて、みんなカスでした。
筆者は、『Art』を買ってきて、CDを震える指でCDプレーヤーのトレイに乗せました。そして、聴いたら。
東日本風に言うなら、「じぇじぇじぇーーーっっっ!!!」。西日本風に言うなら、「びっくりぽんやわー!」。
この『Art』、『Rainbow Tales』に匹敵し、日本ジャズ史に残る一大傑作アルバムになっていました。
アート・ペッパーの世界を纐纈歩美がゼロの状態から新たに築き上げ、その上で、纐纈歩美自身の新たなアート・ペッパーの世界を創出しています。
筆者は、アメリカのジャズ・ミュージシャンによる往年のジャズ・ジャイアントのカバー・アルバムを何枚、
怒りながら投げ捨てたことか。レッド・ツェッペリンのカバー・アルバムを何枚、怒りながら投げ捨てたことか。
普通、無理なんですよ。筆者を含めて誰もが往年のジャズ・ジャイアントには思い入れが極めて強く、
強固な自分なりの往年のジャズ・ジャイアント像を築いているのですから、その世界を他の誰も再構築することは不可能なのです。
しかし、纐纈歩美はやってのけてしまいました。見事に。
『Art』を聴いて、筆者は、(纐纈歩美は、真の天才だ)、と改めて強く思いました。
これをお読みの方には、是非、『Art』を聴いて頂きたく思います。

 

5・纐纈歩美~総論
総論と言っても、そんな立派なことは書けないですし、纐纈歩美はまだまだ発展途上の段階で、
これからまた『Rainbow Tales』、『Art』に匹敵する一大傑作をつくる可能性があります。
ただ、これだけは言えます。纐纈歩美は、「音の人だ」、と。
筆者が2010年に初めて纐纈歩美のライブに行って、驚異の新人ジャズ・ミュージシャンの登場だ、と思った理由ですが、
20代そこそこの若い纐纈歩美は、当時、既に、自分のアルト・サックスに強力な音の記銘性を有していたからです。
音の記銘性とは、例えば、マイルスやクリフォード・ブラウン、リー・モーガンのトランペットを誰が聴いても、
「マイルスのペット」、「誰々のペット」と、判るでしょう。ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、
ハンク・モブレイ、アート・ペッパーのサックスを誰が聴いても、「コルトレーンのサックス」、「誰々のサックス」と、
判るでしょう。そうしたことを音の記銘性と言います。
その音の記銘性を20代そこそこの若い纐纈歩美が、自身のアルト・サックスの音に、「私は、纐纈歩美です」、
と有していたから驚愕したのです。
纐纈歩美はデビュー間もない頃から、「私は音色にこだわりたい」、旨、語っていましたが、それが正解だったのです。
とんでもなく長いフレーズを一息に吹こうにも、肺活量の点で、日本人女性である以上、アメリカの黒人男性サックス奏者には
敵いません。そうしたことから、纐纈歩美は音色で勝負するミュージシャンであることを当初から目標としていたことは正しく、
纐纈歩美の音の記銘性は、アルバムごとに、ライブごとに、強くなってきています。
管楽器奏者として、纐纈歩美ほど強力な音の記銘性を有している日本人ジャズ・ミュージシャンは他にいません
(ピアニストならいますが)。
今後、纐纈歩美は、どの様な作品をつくり、そして、ライブを行うのか、目が離せません。

 

(文 葛西唯史)


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