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今回は、オーディオの記事で、オーディオの銘機としてマランツの#7を取り上げたいと思います。
筆者の愛機でもあり、また、オーディオを志す方にとって憧れのプリ・アンプにされている方も多いと思われます。
そして、プリ・アンプについて、オーディオ雑誌で誰も書いていない重要なことを記します。
1・マランツ#7
このマランツ#7が登場したのは1958年。本格的なステレオ方式が始まるのと同時に登場しました。
「このプリ・アンプには、神が宿っている」、と言われることがしばしばありますが、そこまで大げさなことは筆者は申しませんが、
それでも薄くビロードがかった音色を聴くと、音が良いと思います。
音が良い、と言うことは脇に置いて、先ず、このパネル・デザインにほれぼれしてしまいます。
オーディオ機器には所有する喜び、と言うものがありますが、マランツ#7はその所有する喜びも保証してくれます。
では、このマランツ#7に関して、どう音が良いのか、と言うことになります。
『音が良い』、と言うものは個人的主観によるものであり、それに定義づけできるものではありません。
筆者の場合、プリ・アンプについては、「音を整理(コントロール)することなく、生き生きと音楽を描写する」、
と言うことが、音が良いことになります。
ただ、マランツ#7を使用されている方々の多くは、筆者と同じ考えをもたれるものと思います。
生き生きと音楽を描写すると言うことは、音の生命指数が高い、と言うことであり、筆者や使用されている方々の多くは
プリ・アンプにそれを求めているものと思います。
1990年代以降のプリ・アンプは、どうも音を整理(コントロール)してしまい、NFBも必要最小限ですむはずなのに、
NFBを大量にかけてしまい窮屈に鳴るものが幅をきかせています。
そうしたことはともかく、我が国のオーディオ・メーカー、オーディオ愛好家に大きな影響を与えたプリ・アンプ四天王は、
このマランツ#7、マッキントッシュ・C22、JBL・SG520、マーク・レヴィンソン・LNP-2(L)と言えるでしょう。
この4機には、ある共通点があります。後ほど述べます。
ただ、ここで、これからマランツ#7を入手したいと思っている方に助言をしたいと思います。
それは、必ず試聴をして、ピッシリした音がする個体のマランツ#7を買って下さい、と言うことです。
さすがにビンテージ機器であることから、オリジナル・パーツも経年劣化しており、またビンテージ機器の場合、
「修理歴」が大事なのですが、しんなりと鳴る、あるいは音が緩いマランツ#7は、状態が良くない個体です。
真空管のプリ・アンプなのですから、音の足が速く、ピッシリと鳴るマランツ#7こそが良い個体なのです。
これは、マッキントッシュ・C22にも言えます(同、C20、C11にも)。
マランツ#7には、1979年頃に発売されたキットと1997年頃に発売されたレプリカが存在します。
しかし、キットは使用パーツが相応に異なることから、また、組み立てが困難なことからプロの人に組み立ててもらったとは言え、
個体差がありすぎ、本来のマランツ#7の音がしません。
また、レプリカは、「韓国人が設計したもの」であることから、回路がオリジナルとは異なり、
NFBが大量にかけられていることから鳴りが窮屈です。
そうしたことから、キット、レプリカで満足できる方はともかく、オリジナルを探している方にはキットとレプリカはお勧めしません。
2・プリ・アンプについて
プリ・アンプとは、第2次世界大戦終了前、すなわちウエスタン・エレクトリックの時代には存在しませんでした(一部、例外で存在しましたが)。
それで、プリ・アンプは、大戦終了後、1950年代に入ってから急速に普及しました。
何故でしょうか?
アメリカやイギリス等々では、先ず、ラジオの普及があり、次いでSP盤のレコードが浸透し、
それから、オープンリールのテープ、テレビの登場がありました。
アメリカやイギリス等々の人々は、ラジオやオープンリールのテープ、テレビをオーディオのスピーカーから鳴らすことを好みました。
SP盤のレコードと共に。また、ほどなく登場したビニール盤のレコードと共に。
そうです。プリ・アンプとは、本来、「フォノ・イコライザー付きのセレクター」だったのです。
マランツ#7、マッキントッシュ・C22(同、C20、C11)も「フォノ・イコライザー付きのセレクター」だったのです。
そうしたことから、音を整理(コントロール)する役割などなく、それ故に音が生き生きと鳴るのです。
JBL・SG520の場合、設計思想がマランツ#7やマッキントッシュ・C22を踏襲したことから、回路が単純で、また、
マーク・レヴィンソン・LNP-2(L)は本来、ミキサー・アンプとして開発されましが、モジュール構造を採用したが為に、
音楽信号経路が短縮されたので、マランツ#7、マッキントッシュ・C22(同、C20、C11)同様に、
音を整理(コントロール)することなく、生き生きと鳴るのです。
こうしたプリ・アンプ、登場の背景を是非、念頭に置いて下さい。
ところがどういう訳か、トランジスター・アンプの時代になってから、プリ・アンプに音を整理(コントロール)する役割が担わされました。
マッキントッシュのC28、C32も音を整理(コントロール)しています。
こうした傾向が、1970年代に盛んになり、80年代に加速し、今日に至ります。
いろいろと記しましたが、現代機のプリ・アンプの方がお好きな方も多いでしょう。
プリ・アンプは、スピーカーの次に音質を決定づけしますので、オーディオ・システム全体の音を考慮して、
プリ・アンプを選んで頂きたいと思います。
(文 葛西唯史)
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★元大手レコード会社16年勤務
★元某大型輸入盤店でバイヤー歴20年
★某オーディオ機器メーカー25年勤務
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